こんにちは、teaです。
脳腫瘍というガンになり開頭手術で摘出手術をしました。
この脳腫瘍というものは、良性腫瘍の場合は比較的完全に摘出可能と言われていて、知人にも大きな腫瘍を取り除いてその後は定期検査だけという人がいます。
しかし、わたしの腫瘍は悪性腫瘍(グリオーマ)と呼ばれるガンで、浸透するように広がるもの。完全には取り切れないことが一般的です。
そのため、3段階の治療が必要となり、やはり抜け毛を経験しました。
がん治療と抜け毛の関係
治療計画は次のとおりでした。
- 開頭による摘出
- 抗がん剤
- 放射線治療
開頭手術で、明らかにガンとなっている部分を切除。4cmほど除去したそうです。
正直、想像するのも恐ろしい話です。
8時間の大手術でしたが、全身麻酔で寝ている自分にとっては何が起こったのか全くわかりません。
コロナ禍でもあったので家族のつきそいも許されず、ICUから出たあとも家族の顔を見ることはできない、孤独な戦いが続きました。
一般病棟で寝たきり状態のまま、点滴による抗がん剤治療が始まりました。
5日間程でしょうか、座ることが許され、久しぶりに天井以外の風景を見ます。そして、腕につながっている点滴の先には抗がん剤入りの液体が吊るされています。
このときは、頭に糸と医療用ホッチキスで皮膚が留められていたので、髪の毛のことなんてまったく気になりませんでした。
抗ガン剤治療しても抜け毛が始まらなかった
頭蓋骨を取っているので、それなりに頭皮を切開しています。
もちろん髪の毛は剃られているだろうと思っていたら、縫合部分がどこなのかわからないくらいフサフサしています。
「え?髪の毛残ってるけど開頭手術したの?」
カテーテル手術のように、小さな穴から最新の医療器具で手術したことで、髪の毛はそのままだったのではないかとすら思うほど。
包帯を取って消毒されたとき、初めて切開された部分を見ました。
それでも、髪をかき分けないといけないくらいフサフサしていたのです。
「あの、がん治療だと髪の毛が抜けるんですよね?」
生きられるかどうかというときに、髪の毛が気になるのは自分でも少し笑えました。
「まぁ、人によりますね。そのうち抜けてくるとは思います」
そう言われても、本当に抜けるのかなと思うほど髪の毛は抜けませんでした。
がん細胞への放射線治療でも抜け毛が始まらない
車椅子から自力でトイレまで歩けるようになって、今度は放射線治療が始まりました。
がん細胞をねらって、30回に分けて微弱な放射線を照射するのです。
放射線科の先生いわく、
「いかに髪の毛を残すかが腕の見せどころ、工夫して照射します。」
とのこと。
抗がん剤だけでなく、放射線治療も抜け毛の大きな原因であることを知りました。
たしかに、小学生の時に読んだ「はだしのゲン」でほとんどの人が抜け毛になったのを読んだことがあります。
それでも、意外と抜け毛にはなりませんでした。
頭皮がかゆいので抜糸を依頼、抜け毛が始まる
2週間も経てば、さすがに縫合あとにカサブタができてきて、かゆくなってきました。
いろんな薬が効いているのか、どこも痛くないし、だるくもありません。
なんなら、忙しかった仕事に行かないだけ元気いっぱい。夜中になっても寝付けずにいました。
そうなると、頭のカサブタがかゆくなってきます。
ポリポリ。
まだお風呂も許可が出ないので、よりいっそうカユイような気になります。
で、頭をかくと、医療用ホッチキスが指に引っかかり「あいてて」となります。でも、それほど痛くはありません。
とにかく髪をかきあげると指が引っかかることが気になって、担当医に抜糸をお願いしました。
まずは、医療用ホッチキス針の除去。約1週間後に抜糸となりました。
そして、抜け毛が始まりました。
がん治療のドラマシーンが目の前にあった
朝、ハミガキをしながら爽やかな日差しを浴びて、今日も生きていることを喜びます。
ポリポリ。
カサブタがいよいよカユさを増してきました。いつになったらお風呂に入れるんだろう。
何気なく頭をかいた指に何本かの髪の毛がついています。
・・・?
マクラにだれかの髪の毛がついていたのかな。
わたしの家族は女子が多いので、カッターシャツや靴下に長い髪の毛がついていることがあります。
基本的には驚かないのですが、ここは毎日シーツ交換してもらえる病院。
家族は面会謝絶。
自分以外の髪の毛であるはずがありません。
でも、つっぱったり、ぎゅっと引っ張った感じは全くありません。
もう一度、髪を軽くかきあげると、洗面所に相当な髪の毛がハラハラと落ちてゆきます。
焚き火や、焼却炉の近くで髪の毛が焦げてしまった経験を思い出しました。
ただ、眼下にむかって、自分の髪の毛が舞い降りてゆく。
その後、多めに髪の毛をつまんで引っ張ってみました。
そのまま、するりと抜けたのです。
がん治療で抜け毛は必ずあると思っていい
わたしは、40代でガンを発病しました。
それまで、髪の毛は細くても薄毛で悩んだことはありません。
仕事ではヘアスプレーやジェルを付けないと広がってしまうほどの毛量がありました。
髪の毛が抜けるといった悩みは、人生に皆無だったのです。
今、テレビドラマの主人公のように、握ったぶんだけ髪の毛が抜けていくのを感じます。
「あ、やっぱり抜けるんだ。しかもこんなに簡単に。」
他人事のような、不思議な感覚でした。
鏡を見ると、その部分だけがハゲて見えました。
長期入院になるなら気にせずウィッグを楽しもう
あとどれだけ生きられるかわからないならばと、わたしは病院内にあるガン相談コーナーに行きました。カツラを見てみたいと思ったのです。
なんなら、ハメを外して金髪とかにしてやろう、それぐらいしても許されるだろうと思っていました。半分やけくそですが、ほんの少し楽しみでもありました。
相談コーナーに行くと、尋ねるより先に、ウィッグが7種類ほど展示されていました。
「ご自由に試着ください」
と書かれていることをいいことに、さっそく3つほど頭に乗せてみました。
- セミロング
- ショートヘア
- ロングヘア
まてまて。いろんなカラーの、いろんな髪型があるけど、女性物しかないんじゃないの?
嫌な予感をいだきながら、そこにあるパンフレットを2冊ほど手にして病室に戻りました。
読んでみると、どこにも男性用のウィッグはありません。。。
女性にとっては男性よりも遥かに深刻な問題かもしれませんが、男性用がない理由にはなりません。
よほど需要がないのか、パソコンで検索しても想像しているような男性用ウィッグは見つけられませんでした。
その翌日に入浴の許可が降り、わたしは電動ひげ剃りで髪をすべて刈り上げたのです。
女性ならガン治療に負けずウィッグを愉しめばいい
がん治療が必要なら頭髪は抜け落ちます。
残念ながら中年男のわたしには得られませんでしたが、女性ならせめて自由に髪型を変えられるくらいに前向きにカツラを楽しんでほしいと思います。
先日、メールで下のような広告を受け取りました。
\ 最短翌日配送で無料試着できる /
抗がん剤治療は抜け毛だけでなく、様々な副作用があります。
ほんとうに辛い数年が続きます。わたしは復職してからも抗がん剤治療で毎月休暇を取らなければならないほどの副作用がありました。
せめて、なにか楽しみがないと気持ちがもちません。
一部がみすぼらしく抜けるくらいならとスキンヘッドにしましたが、それから2年経ち、現在ではまたヘアスプレーがないと仕事に行けないくらいにまで生えそろっています。
一時期とはいえ、心身ともに疲弊するがん治療。個人的には男性用の医療ウィッグがなかったことが残念です。定年退職したら、好みの髪型にしたいと思っています。
少しでも気が晴れるよう、自分を接待しても許されると思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます、お互い頑張って日々を楽しくできる工夫をしていきましょう!
teaでした!