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聞こえなくなった翌日

体験記

難聴に違いないと近くの総合病院へ

左耳が聞こえなくなった次の日、仕事帰りに近くの総合病院へ行きました。

ちょうどこの頃、アーティストの浜崎あゆみさんが難聴になったニュースを聞き、安易にも自分も難聴なのだろうと思い込んでいました。

問診票にはもちろん耳鼻科の受診を希望する旨を書き、自分の名前が呼ばれるのを待っていました。

平日にも関わらず混み合っていた病院で、ようやく順番がまわってきました。

「まぁ、何度も来ることはないし、ちょっとだけの辛抱だ」

そのくらい、事の重大さに気づかないまま初めての受診をしたのです。

「片耳が聞こえなくなったのは?」

医師から、いつ、どのように聞こえなくなったのか、既往歴はないかなどを聞かれます。事細かに説明しますが、耳の病気など中学生時代に中耳炎に一度なったきり、何の経験もありません。

聞こえなくなる前も耳鳴りがなることはほぼなく、数年に1回程度くらいの、ごく普通の状態でした。

趣味のバンド活動も転勤した後は全くしておらず、スタジオで大音量を聞くことも数年ありませんでした。

通勤時間が短いこともあり、イヤフォンもほぼ使わない生活でした。

まずは検査をすることに

「鼓膜はまったく問題ありませんね、どちらかと言えばきれいですよ」

医師は見たままを説明しました。特に耳の中に異常は見られないと。

しかし、私の左耳は、大きな耳鳴りが鳴り続けています。しかも、24時間、同じ大音量で。

「とにかく、聞こえの検査をしましょう。」

そう言うと、昭和時代の街角にあった電話ボックスのような箱の中に入るように促されます。

完全に外の音を遮断できる、防音の個室です。ここで、片耳ずつ特殊な音を聞いて、聞こえたら手渡されたスイッチを押し続けると言う検査です。

おそらく、誰もが経験したことがあると思いますが、ピーピーという音が徐々に大きくなっていくアレです。

検査が始まりました。

まずは聞こえる方の右耳から。普通に対応できます。

続いて問題の左耳です。

「ん?検査音鳴らしてますか?」

聞こえないレベルに驚く

検査員の表情にも「え?」という文字が見えます。

防音室のドアが開けられました。

「全く聞こえませんか?もっと音量を大きくしても大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

なんどなく、音がしている気がします。

品質の悪いトランシーバーから聞こえるような、ザリザリした音です。

検査音は低音に。そして・・・

耳には何も聞こえません。

ただ、低音の大音量に反応して、首が振動していることに気づきました。

「そんな大音量が、全く聞こえない?」

さらに検査音は大音量に

首の振動で「鳴っていること」はわかっています。

でも、耳からは何も聞こえないのです。ボタンを押すことができません。

さらに音は大きく鳴ってきたようで、なんとか聞こえるような気がしてボタンを押しました。

そしてまた、検査員がドアを開けます。

「いまの、右耳から聞こえていませんでしたか?」

そうです、反対側の耳である右耳の鼓膜を振動させるくらいの音量だったにも関わらず、左耳では聞き取れなかったのです。

わたしはそれでも、「けっこう重症だな、どれくらいで治るんだろう」と考えていました。

難聴の診断とその治療

検査結果を受けて、医師が「難聴ですね」と診断しました。

あわせて、今後の治療計画が提示されます。

「難聴は、1日でも早く治療を開始することで完全に聴力を取り戻す可能性が高くなります。逆に、3日後、一週間後と治療開始を遅らせると、聴力の20%から40%程度しか回復しないという傾向がある病気です。」

もちろん、1日でも早く治療にかかりたい思いです。少々にがい薬でも頑張って飲むつもりです。

しかし、治療内容は飲み薬などではありませんでした。

「今日から毎日、抗生物質入りの点滴を行いましょう。約2時間、毎日です。とりあえず2週間続けてみましょう。あなたはまだ若いので、場合によってはそれより早く完治するかもしれません」

毎日?

点滴を2時間?

仕事はどうするんだ?毎日、早くても8時までは仕事しているぞ?遅ければ11時まで終わらないことも少なくない。

しかし、生涯聞こえなくなるくらいなら、あまり余っている有給休暇を使って通院してもバチは当たらないはず。

本社と仲間に説明して、翌日から半日休暇を毎日もらうこととしたのです。

しかし、この治療自身は効果のないことと後で判明するのです。

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