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難聴治療のはじまり

体験記
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難聴治療のため毎日2時間の点滴

JR駅前の総合病院(総合クリニック)の耳鼻科にて、難聴との診断を受けたその日、さっそく点滴をすることとなりました。

難聴の治療は早期発見早期治療が鉄則のようで、1日でも早い治療開始が重要とのこと。

その後の聴力保存(どれだけ聞こえる能力を残せるか)に大きな差が出るそうで、遅いと20%すらない場合もあるとの説明を受けました。

さっそく、その日から点滴による治療が始まりました。

点滴による抗生剤の投与

難聴の原因は、おそらく聴覚器官のどこかにウィルス性の病原菌が入り込み、炎症のような悪さをしているのではないかとのことで、抗生剤をじっくり、2時間かけて投与する治療となりました。

2時間に3パックの点滴袋を、毎日。点滴なんてふらふらになるまで働いた時に、無理やりお願いして受ける程度の経験。

それを毎日、2時間。

さすがに1週間も経つと、見慣れた点滴パック、見慣れた看護師さん、見慣れた天井に安心感まで持つようになり、そのうち治ってもうこのベットに寝ない日が来るのを寂しく思うほどにまでなっていました。

しかし、3週間を迎える頃、事態は大きな展開を迎えたのです。

3週間の点滴で変化なし

毎日欠かさず通っていたものの、3週間経っても聴力に変化が見られませんでした。

担当医はそのうち改善すると信じていたようですが、ある日、担当医の出張により、たまたま別の先生が対応してくださった時の話です。

先生は名古屋大学病院の教授で、わりと有名な方だったとあとで知りました。一般書店にも並ぶ本もいくつか書かれていたそうです。

「3週間変化がないとは。ステロイド系の薬も試した方が良いかもしれないですね。」

「お願いします」

「治療を続けつつ、一度、耳のレントゲンを撮ってみましょう。」

「はい。」

「MRIという機械で撮影してみましょう、CTスキャンよりも詳しくわかるので。 MRIはこのクリニックにないので、紹介する病院へ行って撮影してきてください。」

ラジエーションハウスの世界

国内テレビでやっていた「ラジエーションハウス」というドラマをご存知でしょうか?

放射線科医のお話で、割と人気のあったドラマです。最後には放射線技師である主人公が旅立つところで終わったのですが、最終話にプラスして特別編としてもう一話放映されました。

この特別編で、甲子園を目指していた少年の片耳が聞こえない理由が、聴神経腫瘍でした。

話を戻します。MRIを撮り先生へ提出すると、写真に放射線科医が「異常なし」という所見をつけていました。

素人の私がみてももちろん異常なんてわかりません。

どちらかというと、後頭部の頭蓋骨がやや平べったく、絶壁気味であることの方が気になったくらいです。

先生の見立てで判明した白い影

「放射線科医が異常なしと所見を書いていますが、ちょっとこの部分を見てみてください。」

先生は確信を持った口調でわたしに言いました。

「右耳と脳の間に、白い丸いもの。わかりますか?」

「はぁ」

なんとなく、ぼやけた白いマリモのようなものがみえるような、見えないような。

「これは何かがあります。もう一度、MRIを撮影してきてください。今度は、もっと鮮明に見えるように、造影剤という注射を打って撮影するように指示しておきます。もしかしたら、難聴ではないかもしれません。」

「え?」

難聴じゃない?

聞こえづらいのは、一般的に難聴というのではないのか?

この大きな耳鳴りと閉塞感は?

耳の病気じゃない??

 

この言葉を聞くまで、能天気だった私の顔から、数日間、笑顔が消えました。

頭の中に白い影がある。

これ以上の不安はありませんでした。

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