聴神経腫瘍の経過観察
名古屋転勤から京都へ帰り、ガンマナイフ の術後経過を診てもらっていた名古屋大学附属病院から京都のシミズ病院へ紹介状を書いていただきました。
洛西シミズ病院は、京都では有名な脳外科病院で、ガンマナイフ センターもあります。
ガンマナイフ の経過観察は転勤後に
ガンマナイフセンターでは、もちろん聴神経腫瘍やガンマナイフ手術についても説明不要で、すぐにMRI検査が行われました。
自宅から車で30分もかからないところに有名な病院があると言うのは心強いものです。
ガンマナイフ の経過も良好とのことで、次回は半年後にMRI検査を行うこととなりました。
その検査で、担当医が想像もしない診断を下したのです。
ガンマナイフ の経過は良好、しかし…
担当医は脳外科でも有名な先生だったようで、診断報告は深い知識と経験に基づくものであるとうかがい知れました。
その先生がMRI画像を見て、
「ガンマナイフ の経過は良好です。この様子だと再度大きくなることはないでしょう。」
「しかし、すこし気がかりなことが見つかりました。聴神経腫瘍の正反対側に、ちいさな白い影が新たに見つかりました。」
「は?」
「経験上、あまり良くないものと思われます。このタイプは、膨(ふくら)むというより、浸透するタイプのもので、切除しても仕切れないことが多いため、正確な手術が必要です。」
「ちょっと待ってください、全く別のものがあるというお話ですか??」
「はい。わたしが手術しても良いのですが、最新の機械を使って行う方が確実です。大学病院に紹介状を書きますので、そちらで相談ください。」
「…はい。」
突然、新たな問題が発生したと聞かされた上に、せっかくガンマナイフ で開頭手術を回避したのに、今度は開頭手術以外の選択肢はないとのこと。
いったい、何がどうなっているのか。
ぼんやりした気持ちで帰途につき、妻にそのまま、素直に報告しました。
腫瘍でない、良くない、もの。
なんなんだ。
大学病院でのMRI検査とその診断結果
紹介されたのは、鴨川のすぐそばにある京都府立医科大学付属病院の脳外科でした。
予約表の時間には地下にあるMRI撮影室に到着しなければなりませんが、平日の朝一番にもかかわらず駐車場は満車状態。入庫するのに約1時間もかかり、ぎりぎりで撮影室に入りました。
コンタクトを取り、いつもより新しいタイプの機械で撮影が始まります。
最新型なのか、あのうるさい機械音も静かなものです。口のあたりには送風もされており、快適そのものです。
あっという間に前半の通常撮影が終わり、造影剤を注射して後半撮影に。
いつの間にか寝ていたわたしは優しく手を叩く放射線技師に起こされ、脳外科の待合室へと向かいました。
診断結果を聞いて気を失う…
朝8時のMRI撮影から約40分、診断結果は同じ日ですが午後3時となりました。
仕事を休むことができた妻と診察室に入ると、若手の医師から結果を告げられました。
「すでにシミズ外科でおおよそのことはお聞きでしょうが、詳しく説明します。」
「はい。」
「写真でしか判別できませんが、おそらくグリオーマというものです。」
「グリオーマ?」
「ネットで調べていただければわかるかと思いますが、良くないものです。腫瘍とは異なり、浸透する種類のものですので、切除しても微細な転移から広がる可能性があるものです。」
「どういうことでしょう?」
「完全に取り切ることは難しいです。かといって、できるたびに切除し続けることもできません。今、小さいうちに大きめに切除するほかありません。」
「はい…」
「いわゆるがん細胞です、早めの手術をお勧めします。最悪の場合、ステージ4と想定しますと、非常によろしくない状態です。」
「…」
「最悪の場合、あと3ヶ月ということもありえます。」
「は?」
わたしは目の前が薄いグレーになり、おそらく血圧が急激に下がったためでしょう、立っていられなくなりました。
妻が気分が悪そうだと医師に告げると、そのまま横にあったストレッチャーによこたわることとなりました。
3分ほどでしょうか、視界がカラーに戻ったので再度、医師の前に座りした。
全く、どこも痛くありません。30代にしては肌艶も良いと思います。生活習慣病とは無縁、どちらかといえば痩せています。
しかし、最悪の場合は余命3ヶ月。
2人目の子が妻のお腹にいましたが、この世で会うことはできないのだと、諦めざるをえない現実に直面したのです。