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ガンマナイフ手術当日

治療と手術
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一泊二日のガンマナイフ手術

突然聞こえなくなったわたしは、当初「突発性難聴」と診断されて、抗生剤の点滴を毎日行う治療を受けていました。

しかし、効果がないため、ステロイド入りの抗生剤点滴に切り替えた後、たまたま代行の先生がMRI写真に白い影を発見、聴神経腫瘍と判明しました。

先生の紹介で、東海圏ではガンマナイフ手術件数が多い小牧市民病院のガンマナイフセンターを訪れました。

手術前の検査をまず行います。

耳鳴りは3種類と判明

聴神経腫瘍は、徐々に聴力が失われることや、めまいなどの症状が出ることが多いそうですが、わたしは少し珍しいパターンだそうです。

めまいも頭痛もなく、突然聞こえなくなった他に、耳鳴りも特殊だと言われました。

手術前に、脳波を調べることで耳鳴りのなっている音の高さがわかるとのことで、数十分ベットに寝たまま、脳波計を記録されました。

「あら、もしかして耳鳴りは何種類か聞こえてる?」

「はい、セミが何十匹も鳴いていますが・・・」

「いやいや、高い音、中音、低音の3種類も耳鳴りしているでしょう。人によって、聞きやすい声と聞き取れない声があると思います。それは、耳鳴りと同じ高さの声の人だと、耳鳴りにかき消されて聞こえないからですよ。」

そうだったのか、少し前から聞き取りやすい人と聞きづらい人がいるとは思っていた。家内の声は、幸い聞き取りやすい高さらしく、全く聞こえないということはなかった。

でも、職場の何人かの声は全く聞き取れず、なんどか大声で呼ばれたことがあった。

諦めていたつもりが、もう聞こえる事はないとはっきり認識した。

ガンマナイフ手術のDVD

ガンマナイフ

脳波計の結果が出るまでの間、ガンマナイフの説明がわりに機械メーカが作ったのであろうDVDを見せられた。

頭部の固定具を、普通の電動ドリルで締めている映像は、素直にグロテスクだった。

あとはMRI同様、寝そべったまま機械に入れられ、ガンマ線の照射を受けるだけ、患者自身はもちろん頭部皮膚の部分麻酔だけで全く負担はない。

英語でDVDが解説しているが、なんとなく雰囲気はわかるので2周目に入っても同じ画像を真剣に見ていた。

そうこうしているうちに、脳波計を持って技師が帰ってきた。

「お待たせしました、DVD、2周目になってしまいましたね。内容はわかりましたか?」

「英語はさっぱりでしたが、なんとなくわかりました。」

「では脳波計の結果をお伝えします。先ほどお話しした通り、3種類の耳鳴りがあるようです。めまいの検査ではめまいはないと判明しています。腫瘍の大きさも変わりないので、ガンマナイフ手術が有効と考えられます。」

「では、予定通りなのですね?」

「はい、今夜一泊して、明日の午前10時にガンマナイフ手術を行います。」

「わかりました、よろしくお願いします」

ガンマナイフ手術当日

手術とは言っても、実際にはメスを使わない、無血(?)手術で、放射線療法

いつも通り、朝食をとって、緊張をほぐす程度の飲み薬(一応、麻酔薬と言っていた)を飲んで、手術の呼び出しを病室で待っていました。

「準備できました、いきましょう」

家内に見送られながら、ガンマナイフセンターの手術室へ運ばれていきました。

スタッフは7〜8名ほどでしょうか、思ったより大人数なので、途端に緊張しました。

「いまから固定具のビスが当たる頭皮を部分麻酔します。麻酔は4箇所です。」

頭の4箇所に、麻酔注射をされます。

「麻酔が効くまで、楽にしていてください。」

15分ほど経過。

「どうでしょう、感じますか?」

なにかを当てている様子ですが、わたしには全くわかりません。

「効いているようですね、では固定具を取り付けていきます。」

3人ぐらいで固定具を私の頭にかぶせ、電動ドリルが出てきました

わたしは、この固定は頭蓋骨に届くくらいの先の尖ったネジだと思い込んでいたために、電動ドリルのモーター音を聞いた途端…

「心拍が急速に低下!」
「えっ?体温を測れ、横にして!」

気が遠くなってしまったのです。
医師たちも「どうして急に?」と驚いていました。

なんのことはない、ただの押さえネジが頭蓋骨に刺さるかと勘違いしての失神のようなものだったのだと思います。

ただ、実際は頭蓋骨が4点で押されるのですから、当然圧迫感というか、頭の骨がねじれているような感覚はありました。

そして放射線治療が開始されました。

ガンマナイフ治療

ガンマナイフ治療はほんの数十分程度でした。

もちろん、痛みも辛さもなく、術後も立ちくらみがないようなら自分で歩いて病室に戻れます。それくらい、患者には負担のない手術なのです。

実感はないものの、自分の頭の中にある腫瘍が、この少しの時間で焼かれているのです。

ちなみに、ガンマナイフ手術は腫瘍を取り除く開頭手術とは目的が異なり、今以上大きくならないようにするもので、数ヶ月から数年すると小さくなることもあるそうです。

わたしも今日、手術を受けたばかりなので、初回の検査は3ヶ月後からとなっています。

お昼にはガンマナイフセンターを後に

10時に手術を受けたのに、お昼には退院し、すでに帰りのJRに乗っていました。

もちろん、耳鳴りが小さくなったり、聞こえやすくなっているなんて魔法はないのですが、とりあえず小脳を圧迫するという恐怖からは逃れられそうだという安堵感が胸をいっぱいにしていました。

これからこの病気と付き合っって行かなければならない。

酒もタバコも運動も、何一つ禁止事項がない。
反面、なんのリハビリも飲み薬もない。

耳鳴りさえなければ、本当に頭蓋骨の中に病理がいるとは考えられませんでいた。

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